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2023.04.21

メディテーションサウナの先駆け!湯らっくすのメディテーションサウナはこうしてできた

メディテーションサウナを湯らっくす改装の目玉に

熊本地震から1年後、メディテーションサウナを目玉に改装する事となりました。
その当時水掛け式のサウナストーブを扱っているサウナメーカーは限られていて、小さなサウナ室にはそぐわない大きなストーブしか販売されていませんでした。

そこでフィンランドのハルヴィア(harvia)というメーカーのサウナストーブを採用することにしました。
moduloという半受注生産品です。

それを運用まで持っていくのに大変な思いをしました。
悪戦苦闘しオープン初日営業開始3時間後にストーブに火がついた時は感動しました。
ちなみに撮影に間に合わなかったので代替品でカメラマンさんに撮ってもらっている写真が残っております。

メディテーションサウナという名前にしたので、瞑想しやすい環境を目指しました。
それまで日本のサウナの主流は、輻射熱が大事でそのサウナ室が蓄熱された状態が本物のサウナという風潮でした。またそれに異を唱える人もいませんでした。

“呼吸をするサウナ”

私はそれまでサウナ事業の他にホットヨガ事業もやっておりました。
そして私がやっているホットヨガ教室は天井4メーターある蓄熱など何も考えていないスタジオでした。
そのスタジオは「熱効率の良い空間」ではなく「気持ちよい空間」を目指して造ったものです。

「気持ちよさとは蓄熱ではなく、そこを支配する空気である」。

これがメディテーションサウナ設置当初からの湯らっくすのサウナ哲学です。

サウナ室の空気が澱まない事。
これが一番と思い、「呼吸をするサウナ」をコンセプトにしました。

ドアが開いた時にまずストーブが最初に新鮮な空気を吸うようにドアの目の前にストーブを設置しました。
そして常にサウナ室が呼吸するように上と下に2箇所空気孔を設けました。
熱は外に逃げていきますが、その分フレッシュな空気が入ってきます。
ロウリュウサウナですから、ストーブが温度維持の為、常に稼働して水掛けても漏電させないという狙いもありました。

天井の高さをめぐって

熱が外に逃げていくだけではスカスカのサウナになりますので、360度部屋ごと全て断熱しました。
また天井高も重要でした。
ロウリュウした時にすぐに気持ち良い熱が室内を回る事を意識しました。
天井が高いとその熱が降りてくるのに時間がかかりF1で言うところのドライバビリティが悪くなるのが嫌でした。

一般的に言って天井高は一番上の座面から130cmである。
これがヨーロッパのサウナ設計士から送られてきた回答でした。
ロウリュウして立ち上がる蒸気をすぐに感じるにはもう少し110cmくらいがいいと思っていました。
ヨーロッパ人と比べて背も小さい我々にはこれくらいが良いと思い、「天井高は110cm」とメールをその設計士に送り返しました。
「それはヨーロッパスタンダードではない。ダメだ」とのやりとりが数回あった後、「ヨーロッパスタンダードである必要はない」と書いたらそれ以来音信不通となりました。

そこから日本側の設計士がやりかけた簡単なスケッチをもとに独自のメディテーションサウナの設計を完成させていきました。

天井高110cmは当時ではびっくりするほど低いものでした。
が、サウナ室に呼吸をさせつつしっかり汗をかいてもらうには天井高を攻める必要があると信じて突っ走りました。
また、立ち昇った蒸気を座っている場所に落とすには空気の流れもコントロールする必要があると思い、ストーブの上の反射板を変形させました。
これもF1のエアロダイナミクス(空気力学)からヒントを得たものです。その当時競う相手もいないのですが、一人開発合戦を繰り広げておりました。
今、新規のサウナではどこもストーブ上の反射板に工夫がしてあります。
これは多分日本で最初のサウナ・エアロダイナミクスを試したサウナです。

真上から一筋の光を

メディテーションサウナですからストーブの真上から一筋の光をストーンに当てたいという願望が出てきました。
通常は光源が熱で壊れてしまうので、斜めからスポットを当てるのですが、どうしても真上からストンと光を落としたかったのです。
その光だけを頼りに瞑想するという場所。
それも照明デザイナーさんが光源を床下に持ってくると言う解決案を持ってきて、実現できました。

また、音にもこだわりをもち、「瞑想に誘う音とは?」を考え、音楽プロデューサーにお願いして上からソルフェジオ周波数の音を微かに流し、下からはほんのわずかな水の流れる音を流すようにしました。
「せっかく大金をかけて作ったのに音が小さすぎる」とそのプロデューサーに苦情を言いましたが、そこは彼は絶対に譲らなかったですね。
それが正解でした。
サウナ室に繊細な音を持ち込んだ事でより集中という思わぬ効果を得ました。
そのプロデユーサーは最初からそのつもりだったんでしょうけど。

サウナ愛好家に歓迎されて

このようにしてメディテーションサウナは2017年夏に完成しました。
今では当たり前と言われているような事も当時では初めてづくしでした。

呼吸するサウナなんてとんでもないと言う大きな非難も覚悟していましたが、歓迎の声が圧倒的に多く、たくさんのサウナ愛好家に救われた気分だったのを今でもよく覚えております。